「コンサルタントの命運を左右するアサイン」について書いていきたいと思います。
・アサインされた仕事が嫌な時って断っても良いのかな?
仕事のアサインはコンサルタントの命運を左右するほど重要な意味を持ちます。
このアサインでの仕事との出会いの一つ一つが、スキルアップの機会や、昇給や昇進の機会、ましてやコンサルタントとの人と人の出会いにまで影響します。
今回は「コンサルタントの命運を左右するアサイン」についてご紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.評価に影響するアサイン
コンサルティングファームでコンサルタントがアサインされる仕事は色々あります。
言うまでもなく、仕事のほとんどは経営コンサルティングの仕事です。
この経営コンサルティングの仕事はクライアントから依頼される課題により内容は様々です。
その他に、この経営コンサルティングの仕事を受注するために必要な提案の活動もあります。
コンサルティングファームによって違いはありますが、以下のような経営コンサルティング以外の仕事へのアサインもあります。
- セミナーでの講演とその講演の準備
- 雑誌への寄稿や書籍の執筆
- 社内のコンサルタントの教育
- 若手コンサルタントのメンタリング
- コンサルタントの採用、主として面接
- 会社のホームページの作成
色々な仕事が混ざっているのですが、これらの仕事はコンサルタントにとっては以下の2つの大きなグループに分かれます。
- クライアント企業から直接お金をもらってするコンサルティングの仕事
- それ以外の仕事、つまり、クライアント企業からお金をもらっていない仕事
提案活動は、グレーゾーンですが、厳密には後者で、クライアント企業からお金をもらっていない仕事になります。
なぜこの2つの分類が重要かというと、クライアントから報酬としていただくお金をもとに、アサインされるコンサルタント毎に有償稼働時間が決定され、この時間によりコンサルタントは管理されます。
この時間から有償稼働率というものが計算され、これが評価のもとになります。
どこのコンサルティングファームでも若手のコンサルタントの評価として最も重要視されています。
つまり、コンサルティング案件以外は、有償稼働率という観点では、定量的には評価されないというのが一般的な考え方になります。
また、有償稼働率が継続して低いと、
- スキルが低いから長い間、アサインされていないのかな?
- チームで働くのが苦手なのかな?
など、アサインされる際にもフィルターがかかる可能性もあり、有償稼働率は評価だけでなくアサインの際にも非常に重要です。
いろいろな意味で、第一に「クライアント企業から直接お金をもらってするコンサルティングの仕事」にアサインされることが重要です。
2.いろいろな仕事にチャレンジする
企業への経営コンサルティングの仕事なら何でも良いのかというとそういう訳ではありません。
若手の人でも、経営コンサルティングの中でも上流にあたる、いわゆる“戦略系コンサルティング”という仕事を希望する人は多いです。
事業戦略の策定や新規事業の創出など華々しく映りますよね?
そういう希望が通らず、他のファームへ転職したりする人もいます。
しかし、案件は選り好みせず、色々な仕事にチャレンジすることが重要だと思います。
色々見ていると、
- ITの案件
- 業務プロセス設計
の仕事は、人気が少ないような気がしますが、将来に向けて積極的に参加してスキルを身に付けていくことも重要かなと思います。
この2つの仕事についてみていきましょう。
IT関連の案件
IT関連といっても、プログラムを作ったりすることはありませんが、結構避けれらているケースが多いように思います。
コンサルティングファームだと、
- 情報システム構築の構想策定/要件定義
- 構築のPMO
などといった仕事が多いと思います。
昨今だと、ERPパッケージのSAPの導入やRPAの導入などがあります。
また、情報システム部門の業務改革やM&Aに伴う情報システムのデューデリジェンスというような仕事もあります。
最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)ということをよく聞くことがあるかと思います。
今の時代、企業経営や事業の運営は、ITやデジタル技術の活用抜きには語ることができません。
そのため、なるべく若いうちにITについては肌身で感じてスキルを習得しておくことが重要と思います。
業務プロセスの要件定義/業務プロセス設計
これもIT関連同様人気の低い案件のように思います。
業務のプロセスやルール等を決めていくとか地味に映ってしまうようなところがあるからでしょうか。
ただ、新規事業を立ち上げる場合にも、業務改革をする場合にも、新しい業務プロセスを設計する必要があります。
こういった案件では、実効性の高い業務プロセスを策定するスキルをつけることができます。
このようなスキルも若いうちに実際のプロジェクトを通して、身につけておいた方が良いように思います。
3.アサインってどう決まるの?
今回は、若手のコンサルタントに絞って話をしたいと思います。
業界の知り合いに聞いてみると、大きくは、以下の3つのパターンに分類できるように思います。
- 所属部門の責任者が決める
- 自分からプロジェクトの責任者に応募する
- アサインを決めるマッチング組織が決める
若手のコンサルタントの所属には、大きく、専門のコンサルティング部門に所属するケースと、リソースプールと言って専門のコンサルティング部門には所属せず若手コンサルタントのみが所属するような組織形態のケースの2つがあります。
必ずしも、組織形態とアサインの決まり方は一致しませんが、所属部門に若手コンサルタントが所属しているような場合は、所属部門の責任者がアサインを決めます。
所属するコンサルタントのスキルやキャリアプランを考慮して、どのようなプロジェクトに参加すべきかを考えます。
しかし、所属部門にも先ほど紹介した有償稼働率の目標があるので、必ずしも個人のキャリアプランが最優先されるということはありません。
「所属部門の責任者が決める」以外の2つについてみていきましょう。
自分からプロジェクトに応募する
この方式は、リソースプールのようになっている場合に多いですが、所属部門に若手コンサルタントが所属するような形態の場合にも適用されていたりします。
- これから開始が見込まれるプロジェクト
- すでに始まっているがコンサルタントが不足しているプロジェクト
などのリストが公開されていて、そのリストの中からプロジェクトに応募するような形です。
応募がきたらプロジェクトの責任者は面談して、スキル等を評価して採用するか否かを検討します。
比較的自分のキャリアプランに沿ったプロジェクトに参加できる確率は高まりますが、選り好みすると非稼働の時間が長くなります。
このアサインされずに非稼働の状態を「アベイラブル」と言ったりします。
このアベイラブルの時間が長いと当然評価が下がりますので、アベイラブルなコンサルタントは必死にプロジェクトを探します。
英語のAvailableから来ています。
アサインを決めるマッチング組織が決める
コンサルタントのスキル等のプロファイルとどのようなスキルを必要としているかのプロジェクトのリストをデータベースとして管理し、それぞれの内容をマッチングしながら、最適な組み合わせを行う組織を設置している会社もあります。
最終的には、組織の責任者の決定やプロジェクトの責任者による面談もあったりしますが、基本のアサインはマッチング組織が提案します。
これにより、人が余っている組織の責任者と人が足りないプロジェクト間でのコミュニケーションロスがなくなることで、アサインまでのリードタイムが短くなります。
また、アサインが迅速に決められることで、アベイラブルのコンサルタントが減るため、稼働率が上がることで、コスト削減・売上増にも貢献します。
ただ、緊急時の対応や大型の重要案件等への例外的な対応はもちろんあります。
4.アサインで何が変わるの?
プロジェクトの内容の違いの他に、アサインで何が変わるのでしょうか?
大きくは、次の3つに影響します。
・働き方
・働く場所
・一緒に仕事する人
3つについて詳しくみていきましょう。
働き方
大抵のコンサルティングファームでは、若手のコンサルタントは、同時期には1件のプロジェクトにしか従事しません。
ただ、複数のプロジェクトにアサインするファームもあれば、一時的に複数アサインされる可能性もあります。
プロジェクトにアサインされた際、
- お客様オフィスに常駐する
- 主たる作業は自社で行い、打ち合わせの際のみクライアント先に行く通い
の二つがあります。
業務プロセス設計とか要件定義のように、比較的大人数で、お客様メンバーとも一緒にするようなケースは常駐するケースが多いように思います。
一方で、構想策定のような上流だと、通いのケースが多いように思います。
必ずしも、形態が決まっているのではないので、ケースバイケースではあります。
私個人としては、他のプロジェクト等効率的に進めることができるので通いが良いと思っています。
あと、正直、お客様先のオフィスで席を借りると、仕事以外にもお客様オフィスでの生活の仕方とか神経を使わなければならないこともあり、ちょっと疲れやすくなるというのも一因です。
働く場所
経営コンサルティングの仕事は、圧倒的に東京にある本社で行う場合が多いですが、製造業のクライアントだと、地方の拠点や工場にお邪魔したりするケースもあります。
もちろん、名古屋や大阪に本社があるクライアントとお仕事するケースもあります。
そのような場合は、月曜に出張して現地入りして、金曜の夜に東京に戻ってくるということになり、生活パターンが大きく変わります。
また、一番大変なのが、首都圏近郊で、1時間半から2時間くらいの距離にあるクライアントにお伺いするケースです。
日帰りか、宿泊か悩みます。
また、プロジェクトによっては、経費が少ないので、毎日片道2時間通いになるとか、肉体的に厳しい状況が発生する時もたまにあったりするようです。
一緒に仕事する人
一緒に仕事をする人で、チームメンバーも重要ですが、一番重要なのはプロジェクトマネージャーです。
いわば、現場の作業指揮官と言えば良いでしょうか。
プロジェクトマネージャーにより働き方はかなり変わるし、習得できるスキルもかなり変わります。
例えば、時間にきちんとしている人が大半ですが、時々自分のペースで仕事をする人もいたりします。
打ち合わせの時間も場当たり的になり、チームの仕事の効率はすごく悪くなったりします。
また、経験豊富なプロジェクトマネージャーと一緒に仕事をすると、プロジェクトが終わった時に多くのこと学ぶことができ、自身の成長を感じることができます。
持っている事例や方法論等ポケットがたくさんある人と仕事をすると、とても勉強になります。
5.まとめ
プロジェクトへのコンサルタントのアサインの仕方や仕組みは、これがベストな解決策というものがなく、どのコンサルティングファームでもいろいろ試行錯誤しているようです。
それだけプロジェクトへのアサインは、コンサルタントにとっても、コンサルティングファームにとても重要な意味を持つということです。
今回IT関連のコンサルティングの重要性について少し触れましたが、以下の本も参考してITの仕事にもどんどんチャレンジしてみて下さい。