「コンサルタントの重点スキル!期待値管理を徹底解説!」について書いていきたいと思います。
・相手の期待値って、どうすれば管理できるの?
最近は、様々な情報が氾濫していて、レストランとかに行ってもあまり大きく外すことは無くなりましたが、たまにすごく美味しいという評判の店に行ったけど、値段の割に対して美味しくなかったなんてことはありますよね。
本来であれば、価格と味のバランス取れていたのかもしれませんが、とても前評判が高かったために、その期待値に応えられなかったため、かえって満足度を落としてしまったなんてことになります。
これが製品であれば、常に一定の品質のモノが提供されますが、サービスは都度サービスの内容や品質が異なるといった特性があります。
医者や歯医者、美容室なんかを想定すると分かると思いますが、継続してお客様(患者さん)に来てもらうためには、口コミの前評判で形成される期待値に対してサービス(治療等)の結果がより満足いくレベルになければならないです。
同じようにコンサルタントの仕事も、期待値の管理が重要になります。
今回は「コンサルタントの重点スキル!期待値管理を徹底解説!」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.期待値管理って何?
コンサルティングの世界では、以前から期待値管理ということの重要性が言われています。
英語でExpectation Managementで、社内でも「エクスペクテーション・マネジメント」と言うこともあります。
コンサルティングの仕事はサービスです。モノを作る製造業とは異なります。
サービスの特徴には、以下のような特徴があります。
- 無形性:サービスには形がない
- 同時性:消費の場でサービスが生産される
- 異質性:サービスを提供する人によりサービスは異なる
- 消滅性:サービスは在庫できないので生産と同時に消滅する
このような特徴から、コンサルティングサービスを提供する毎に、提供するサービスも異なりますが、クライアントが期待するものも異なります。
そこで重要になるのが、期待値と結果のバランスです。
クライアントの期待値 > コンサルティングの結果 → クライアントの不満
クライアントの期待値 ≦ コンサルティングの結果 → クライアントの満足
コンサルティングのサービスの基本はクライアントから信頼してもらい、継続したビジネスを獲得することです。
継続したビジネスの獲得には、高いお客様満足度が必要となり、高いお客様満足度を得るためにはコンサルティングの結果がクライアントの期待値を常に上回らなければなりません。
そのため、「Beyond Client’s expectations」と口にするコンサルタントは多いです。
※お客様満足度とロイヤルティの関係については、以下の記事を読んでみて下さい
2.期待値管理ですべきこととは?
では、この期待値管理はどのようすればできるのでしょうか。
だれでも一朝一夕にできるというものではなく、経験と実績も必要になってくるところもあると思います。
以下の3点が重要と教わりました。
- 相手に過大な期待を与えない
- 困難でも一度設定した期待値は乗り越える
- 難しいことはきちんとできないと言う
詳細についてみていきましょう。
相手に過大な期待を与えない
相手に過大な期待を与えてしまうと、その期待を超えることが非常に困難になります。
場合によっては、結果できなかったなんてことにもなりかねません。
一方で、はじめから消極的に低い期待値に誘導してしまうと、そもそもお願いされないということになります。
つまり、この期待値の塩梅をマネジメントすることが非常に難しいことです。
その為には、相手の期待値を具体的に探ることが重要になります。
また、相手がその分野に対する基礎的な知識やスキルをどの程度持っているかを知ることも重要です。
特定の領域の専門家の期待に応えることはかなり難易度が上がります。
困難でも一度設定した期待値は乗り越える
経験が無いと期待値の設定を間違えてしまいます。
特に、経験が少ない若手のコンサルタントだと、どうしても高めに期待値を設定してしまいます。
例えば、「次回の打ち合わせでは、以下の5つの論点を討議します」と宣言したとします。
内容的にも次回の打ち合わせまでに準備できない、そもそも時間的に3つしか議論する時間が無い、なんてことはよく起こります。
しかし、一度クライアントと握った期待値は必ず越えなければなりません。
その落としどころを踏まえて、期待値の管理は必要となります。
難しいことはきちんとできないと言う
期待値を設定しようと思っても、コンサルティングはクライアントあっての仕事です。
どうしても無理なお願いもされてしまいます。
それでも、そもそもできないようなことは、明示的に早いタイミングでお断りすることが重要です。
しかし、コンサルティングの提案等でやると言ってしまったことは、断れないません。
3.期待値管理のdos & don’ts
では、3つのシーン別に期待管理の「dos & don’ts」を紹介していきたいと思います。
提案編
Don’tsの代表として、若手のコンサルタントが提案する場合に起こりがちですが、できないようなことを提案してしまうことです。
ファームの中に、その提案に関する専門家もいなければ、実績もないというような内容を提案してしまいます。
自分達のファームでできること以上の提案をしてしまいます。
時に、他社の社員の経歴を提案書に載せて、「弊社には専門家が沢山います」なんて言う提案を平気で書くようなコンサルタントもいるようです。
自分では経験もないような、過剰な期待値を持たせる提案は非常に危険です。
Dosとしては、コンサルタントとして責任をもってクライアントに提供できる内容を提案書に記載し、その内容が期待値を超える内容になっていることが最も理想的です。
その為に、経験や事例、方法論といったファームとして持つ知的資産が重要になります。
自分ができること以上の力を組織がサポートしてくれます。
会議編
Don’tsとしては、先にも紹介しましたが、次回の予告はしたものの、できない予告をしてしまうことです。
若手の場合だと、どうしてもたくさんの量のアウトプットをすることが重要と思うケースが多いようです。
しかし、誰もが「それって準備の時間もないし、大丈夫なの?」と思うようなことをしてはなりません。
話はしたものの、後から無理と気づいたら、なるべく早めに訂正することが重要です。
Dosとしては、コンサルティングの活動期間中に実施すべきセッションのアジェンダ(論点)をはじめに設定してしまい、工数があいたら並行して作業を進められるように設計する等、効率的な会議の計画を立てておくことが重要です。
クライアントも安心しますし、多少議論の結果で予定が変わっても、全体が見えていればクライアントと協議して見直しながら進められます。
見えている全体の会議スケジュールと論点が、クライアントにとっての最低限の期待値と言えます。
プロジェクトアサイン編
これはコンサルティングファーム内の話ですが、クライアントのプロジェクトにアサインされる際に、資料や面談で何ができるかが確認されます。
その際によくあるDon’tsという点では、できないことをできると言ってしまい、プロジェクトが始まってからトラブルケースです。
よく耳にするのは、グローバルプロジェクトで、英語ができる前提で、本人もビジネス英語ができますと宣言したものの、プロジェクトが始まってみたら、読み書き会話の全てが全然できていないということが時々あるようです。
日本語でも困難なコンサルティングの資料を英語で作ることはかなりハードルが高いです。
Dosとして意識しておくことは、自分の実績はこのようなプロジェクト、持っているスキルや専門知識について事実をきちんと伝えることです。
ただ、一方で、日頃からこのようなことも自分で情報収集をしており、今回のプロジェクトでここまでスキルを伸ばしたいという目標やWillをきちんと整理して伝えることです。
そうすれば、アサインするパートナーやマネージャーも、そういう点も意識した仕事を振ってくれるようになります。
4.まとめ
期待値管理は、駆け出しコンサルでは難しい内容も含んでおり、いろいろな先輩等からの意見も聞いて紹介しました。
ただ、一つ一つのことは改めて現場の活動として振り返ってみると、自分自身としても気を付けるべきことが多いかなと思うことが多いテーマです。
ただ、この期待値管理は、コンサルティングの活動に限らず、日々の仕事の上でもとても役立つ重要なテーマでもあります。
是非、活用してみて下さい。