「ヘッドラインを書く際に気を付けるポイント5選」について書いていきたいと思います。
・ヘッドラインって何に気を付ければ良いの?
・資料を伝わりやすくするにはどうしたら良いの?
コンサルタントの作るパワーポイントの資料だと、大抵、各ページの上部にそのページで書かれている内容の要約を2~3行の文章で書いている部分があります。
これが「ヘッドライン」です。
コンサルティングファームによっては、「メッセージ文」とか「リード文」とか呼び方が異なります。
この「ヘッドライン」ですが、各ページの要約でもありますが、報告書全体のストーリーを表現しています。
報告書の「ヘッドライン」のみをページの順番に読んでいくと一連のストーリーになっています。
そのため、「ヘッドラインは」はページの中では1~2行の文章ですが、コンサルタントの作る資料の中では非常に重要な意味を持つものです。
実際に「ヘッドラインを書く際に気を付けるポイント5選」についてご紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.「以下参照」はタブー
先ほど紹介したように、資料のヘッドラインのみをページの順番に読んでいくと一連のストーリーになっています。
そのため、ストーリーの中に唐突に”~については以下参照。”とのみ書かれると、ストーリーとして読んでいる人には意味が不明な文章になります。
ストーリーを無視して何も考えずにヘッドラインを書くのであれば、“~については以下参照。”とか書くのは非常に楽ですよね?
でも、ヘッドラインは自分の資料で記載していることを端的に過不足なく言葉で説明するのが基本です。
時間に余裕がない役員の方が資料の各ページの細部まで読まなくても、そのページで何を説明しているかを理解できるよう、1~2行の文章で表す必要があります。
つまり、その資料のボディの部分で何を言わんとしているのか、日本語の表現力が問われます。
<図 一般的なパワーポイントのページ構成>
そのため、ヘッドラインに「以下参照」と書いてしまうと、当の役員の方は結局ボディに記載されている内容を全部読んで解釈しなければならなくなります。
この点からも、「以下参照」とヘッドラインに書かれてしまうと、一連のストーリーからそのページに書かれていることが読み取れず、そのページだけロジックが“飛んで”しまいます。
皆さんも文章を読んでいて、「以下参照」と書かれていたらどう思いますか?
「以下参照」と書かれていても「以下参照」以上のことはわかりませんよね?
極端な例かもしれませんが、ヘッドラインに「以下参照」と書くことほど意味がないことはありません。
2.「下記参照」はタブー
「以下参照」は最大限使わないように説明しました。
ただ、資料を準備していて間に合わず、クライアントとの打ち合わせまでの「Last 1 minute」を切ってしまった時だけは自分に使うことを許しています。
さらに上を行くのが「下記参照」です。
通常の使い方は、“下記の通りです”などと記載し、その下に“記書き”を記載し、要領をまとめて記載します。
コンサルタントが作成する資料に“記書き“はよほど特殊な場合でないと使いません。
<図 記書きの例>
そんな細かいことは気にしなくても良いと思われるかもしれません。
ただ、私の知るクライアントの役員の方たちは忙しい中でも、新聞はもちろんのこと、様々なビジネス書や教養書を読んでいる方がほとんどです。
そのような方々は打ち合わせの場などではあえて何もおっしゃりませんが、後でお聞きすると、「このコンサルタントはあまり日本語も勉強されていないのだな」と思われているようです。
3.自分がやったことを書いてしまうのはタブー
よく書いてしまうこととして、ヘッドラインに自分がやったことを書いてしまうケースがあります。
例えば、
- ~の市場分析を行いました。
- ~のデータを集計し、分析しました。
などです。
では、なぜこれがいけないのでしょうか?
既に紹介したように、ヘッドラインには、全体のシナリオの中で、ボディに記載したことを端的に書くことが重要です。
- 市場分析をした結果として何が分かったのか
- データを集計、分析した結果として何が分かったのか
など、コンサルタントとしてそのページで主張したいメッセージを書かなければなりません。
報告書を読むクライアントの方にとって、“集計した“、”分析した“というコンサルタントがしたことをヘッドラインに記載することは意味がありません。
なぜなら、“集計した“、”分析した“から報告書が作成されていることは、わざわざ言われなくても誰にでも分かりますよね?
4. 体言止めの使用は気を付けよう
通常の日本語の文章は、「です・ます体」「だ・である体」で終わらせます。
「体言止め」とは、ご存じのように文章の最後を“体言“つまり”名詞“で終わらせる文章です。
日本語表現なので、一長一短があり必ずしもこれが正解というものがあるわけでないのは理解していますが、ここでは分かりやすく、「体言止めは使わない」ということで考えてみたいと思います。
ちょっと極端な例ですが、以下の例文を見てみてください。
- 犬
- 犬が歩いている
- 犬が歩いていた
- 犬が泣いている
- 犬が泣いていた
極端な例文ではありますが一つ目のように「犬」とだけ書かれていても何を言いたいのかわからないですよね?
つまり「So What?」です。
「体言止め」は文章から、時間の感覚や意思を奪ってしまいます。
よって、経営者にメッセージを伝えるべきコンサルタントは、通常はヘッドラインに「体言止め」は使用しません。
「体言止め」を使いすぎると、クライアントの役員の方からも、どうしろという提言なのかが分からないという指摘を受けます。
例えば、「戦略を策定」というと何か聞こえが良いように思えます。
しかし、
- 「戦略を策定した」のか、
- 「戦略を策定する」のか、
- 「戦略を策定すべき」のか、
- 「戦略を策定すべきでない」のか、
といった、時間や意思をごまかしているだけです。
あえて極端な例を挙げて説明しましたが、王道の経営コンサルタントを目指す人は、なるべくヘッドラインなどのキーメッセージには「体言止め」を使わないようにしましょう。
当然、使う文章や使い方で「体言止め」は効果を発揮するので、使い方を間違わないようにしましょう。
5. 語感を大切にしよう
語感も難しいテーマです。
インターネットで調べると「言葉のもつ微妙な感じ。言葉から受ける主観的な印象」などと書いてあったりします。
非常に曖昧で、どうすれば良いのか少し難しいテーマではあります。
例えば、人の資料を読んだりしている時に、
- ”この文章はなんか感じが違うな”
- ”趣旨が分かりにくいな”
など思うことがあると思います。
一方で、テレビのニュースを聞いていても、新聞を読んでいても、“これって何か日本語として変じゃない?”と思うことはないと思います。
経営コンサルタントが仕事をご一緒する企業の役員の方々は普段新聞などのメディアの語感に慣れています。
そのため、この語感を養うためにどうしたらよいでしょうか?
例えば、新聞の社説やコラムを毎日読むというのが良いと思います。
それもできれば、音読する方がこの語感は磨かれるように思います。
私の知るとある先輩は朝日新聞の天声人語を毎日ノートに書き写して日本語の感覚を身に付けたそうです。
やはり日本語は難しいですね。まだまだ私も勉強中です。
6.まとめ
手を抜いて、ヘッドラインを省略してクライアントの方へ資料を説明すると、「結局、このページで言いたいことって何なの?」とか言われてしまいます。
また、忙しいクライアントの役員の方で報告書の説明を聞かれる時間があまり無い時は、ヘッドラインを読みながらページのイメージを追って数十ページの報告書を短時間で読み込まれる方もいらっしゃいます。
皆さんが思われている以上にこのヘッドラインは重要な役割を果たしています。
コンサルタント以外の人も、仕事で資料を作成する時等に活用してみてください。
日本語で文章を作成することに興味がある方は、以下の本を是非読んでみて下さい。