「入社前に知っておきたいコンサル流議事録の書き方を徹底解説!」について書いていきたいと思います。
・議事録と議事メモって違うものなの?
どこのコンサルティングファームでも、入社して1年目の新卒のコンサルタントが担当するのが議事録書きです。
チームの構成にもよりますが、2~3年目でも自分がメンバーの中で一番下のメンバーであれば、議事録書きは必須です。
キャリア採用の人でコンサル未経験の人も1年目には必ず回ってくる役割です。
こう言っている私自身、議事録作成はとても嫌いでした。
上司になる人によって書き方に違いがあったりで結構面倒という印象です。
とは言っても、避けては通れない道ですし、重要な役割です。
今回は「入社前に知っておきたいコンサル流議事録の書き方を徹底解説!」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.議事録か議事メモか
一般には会議の内容を正確に記録した正式な文書という位置づけの議事録と会議の参加者が会議の内容を後日確認したりする文書としての議事メモがあります。
もしかすると議事メモということはあまり一般には使われない言葉かもしれませんが、議事録とは分けるためにコンサルティングファームでは使い分けているところが多いと聞きます。
正式な定義というより議事録と議事メモの違いを相対的に紹介したいと思います。
議事録
議事メモに比べて、正式なものを指します。
よく聞くようなものだと国会や閣議の議事録でしょうか。
また、株主総会等のように法律で作成を義務付けられた議事録もあります。
大抵は、以下のような項目を記載します。
- 開催日時
- 開催場所
- 席者
- 議事内容
- 決定事項
形式的には、話した内容を発言者毎に記載するような逐語形式と、発言内容をいったん整理して議事の要旨を箇条書き等で分かりやすく整理した清書形式のものと2種類あります。
いずれの形式にしても、会議の内容を録音なり速記なりしたものから文書化します。
正式な文書なので、内容の正確性が問われます。
議事メモ
議事メモはどちらかというと非公式の扱いです。
コンサルティングの活動では、クライアントとはセッションという呼び名の打ち合わせを週に何回か行います。
そのセッションの内容を参加したメンバーが後で読み返して確認します。
その時に使用するのが議事メモです。
議事の内容を参加者が確認することが目的なので、発言要旨は漏れなく書きます。
ただ読んで分かるようにできる範囲で、省略している主語・目的語等を捕捉します。
形式は先ほどのような逐語形式もあれば、清書形式もありますが、後ほどもう少し詳しくご紹介します。
議事録・議事メモはクライントに提出するか
正式な議事録を書かなければならない場合は、クライアントがそのように依頼してくるので、提案書にも大抵はその旨を記載します。
そのようなケースは、必ず議事録を提出します。
また、システム開発のように後で言った言わないが、瑕疵や費用の判断に大きく影響が出るようなプロジェクトの場合も議事録をクライアントに提出します。
しかし、通常のコンサルティングのプロジェクトでは、あまり積極的に議事録を作成したり、作成した議事メモをクライアントに提出したりはしません。
「なぜ?」って思いますよね。
クライアントに議事録や議事メモを提出すると必然的にレビューが始まります。
その手直しのための工数、確認のための工数がクライアントにもコンサルタントにも非常にかかります。
議事メモも内部検討用には作成して活用しますが、積極的にクライアントに出さないことが多いです。
コンサルティングファームやプロジェクトマネージャーによっても違うので一概には言えません。
2.議事メモの種類
多くの場合、コンサルティングの活動では議事メモを作成しますが、議事メモには3つの種類が大きくあります。
- 逐語形式
- 清書形式
- 速記形式
逐語形式
プロジェクトマネージャーによっては、逐語形式の議事録を求めます。
セッションの内容をボイスレコーダーで録音して、全ての会話を一字一句間違いなく、作成させます。
再度ボイレコを聞き直しながらの作業になるので、2時間のセッションですと、4時間~6時間程度はかかります。
週に2~3回セッションをしますので、この議事メモが出来上がった頃には、次のセッションの準備にかかります。
そのため、時間をかけて作っても活用されないことが多く、はたで見ていても無駄に思います。
清書形式
こちらもセッション中にPCでメモをタイプしつつ、ボイレコの内容を聞き直して、論点を整理したり、論点毎に発言内容を構成し直したりとこちらも作成には時間がかかります。
構造的に整理する分、こちらの方が余計に手間はかかります。
しかし、こちらも逐語形式と同様で非常に時間がかかり、出来上がった頃にはその必要性はあまりないものになっています。
周りを見ても、この議事メモを見て議論していることを見かけることはあまりありません。
速記形式
速記言っても、速記者がいるわけではありません。
実際には速タイプです。
セッションの最中に持ち込んでいるPCにその場で入力していきます。
初めてのクライアントの場合には、PCでメモを取る旨を伝えることも重要です。
先ほど紹介したように、発言要旨をきちんと押さえて、可能な限り省略されている主語や目的語を補足していきます。
セッションが終わった際には、おおよその議事メモは完成しています。
打ち切れなかった文章についてキーワードをもとに、短時間に文章を補完すれば終わりです。
3.議事メモの使い方
議事メモの使い方も様々ですが、主要なものとしては以下の2点になります。
- セッション資料の見直しに使う
- Facts & Findingsの議論に使う
それぞれについてみていきましょう。
セッション資料の見直しに使う
セッションを行っている際に、PowerPointやEXCELを投影しながら議論で出ている内容をその場で直してしまうことが多いですが、手直しが間に合わない場合があります。
そのような場合は、セッション終了後にすぐに議事メモを確認しながら、PowerPoint等を手直しして、クライアントに送ってしまいます。
クライアントとの円滑な情報共有はとても重要です。
Facts & Findingsの議論に使う
Wrap upとか言いますが、セッション終了後にコンサルタントのチームの中で、セッションの振り返りを行います。
クライアントのチームと一緒にする場合もあります。
このWrap upを行う際に、必要になるのが議事メモです。
そのため、半日かけて逐語形式のメモを作っていたのでは意味がありません。
今回のセッションで、
- 検証できた仮説は何か
- 検証できなかった仮説は何か
- 新たに確認できたFacts(事実)は何か
- 新たなFindings(発見・気づきは)何か
を確認していきます。
それに基づき、仮説や作業計画の見直しを行い、次のセッションの準備を行います。
4.議事メモ作成の心得
このように、議事メモは非常に重要な役割を果たします。
単に誰も読まない記録を残す作業ではありません。
そこで、議事録を作成する際の心得を3つ紹介します。
- 議事メモ作成に集中する
- 臨場感を出す
- 書き洩らさない
それぞれについて詳細をみていきましょう。
議事メモ作成に集中する
「議事メモとっている人がいるけど、議論に参加しないので無駄でしょ」というクライアントは時々います。
そのような場合、プロジェクトの責任者がきちんとクライアントにその必要性を説明する必要があります。
その上で、議事メモを作成する人は議事メモ作成に集中します。
セッションの内容を聞いていてタイプする指が止まっている人も時々いますが、後でボイレコを聞かねばならなくなるのでNGです。
余計なことを考えずに、議事メモ作成に集中します。
臨場感を出す
議事メモで記録を残すとなると、きれいに表現しがちなのですが、発言しているままの言葉をそのままタイプして、セッションの場であった議論の臨場感を後から読んで分かるようにすることが重要です。
「ここの部分の議論の時、部長は結構真剣だったよね」とか、検討できるとしめたものです。
書き洩らさない
議事メモ書きに集中していてもタイプが間に合わないことはあります。
その場合は、その議論で出ていたキーワードだけでも、たくさん記録に残すようにしましょう。
多少分からないことがあっても、Wrap upの際に議論をしている時に、「ここってこういう趣旨の議論だったよね」と確認しながら進めています。
できれば、Wrap upまでに補完できているのが良いですが、良識あるコンサルティング・チームであれば問題ないと思います。
5.まとめ
初めのうちは議事メモ作成とか嫌だという人は多いですが、きちんとしたコンサルティング活動を進めていくと、議事メモの重要性が分かってきます。
セッションで討議した内容を振り返り、その内容をもとに次のセッションを見直していくという点でとても重要なものです。
このあたりの認識が違い議事メモ書きを手抜きすると、優秀なプロジェクトマネージャーはセッションしながら自分で議事録とって、Wrap upを勝手にやってしまう人もいます。
若手コンサルタントにとっては非常に重要な仕事です。
前向きに取り組んでみてください。
議事メモ書きの形式は、ファームやプロジェクトマネージャーにより異なりますが、文書作成の基本について学ぶのに参考になる本です。