経営コンサルの必読書厳選9選!【CRM編】 

ななみ
ななみ
こんにちは。
「経営コンサルの必読書厳選9選!【CRM編】」について書いていきたいと思います。
・CRMについて学びたい…
・お客様を大切にすることは重要って言われるけど、どんな点に気を付ければ良いの?
・最近、クレームにタイムリーに対応しきれていないけど、どんな対策があるの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

最近あまりCRMという言葉を使わなくなりましたが、Customer Relationship Managementの頭字語で、お客様との長期的な関係性のマネジメントを意味します。

CRMはビジネスの基本ですね。

今の世の中、

  • インターネットで検索すると安い店やECサイトを見つけて欲しいものをすぐに購入できる
  • 類似した商品がすぐに安い価格で発売され、より安く良い商品を手に入れることができる
  • ニーズが多様化して安くて良いものというだけでは購入してくれない

など、取引の力関係がお客様サイドに大きくシフトしています。

インターネットを中心に、お客様がより多くの情報やチャネルや商品の豊富な選択肢を持つよりになり、お客様との関係強化はさらに重要になってきています。

そこで今回は、「経営コンサルの必読書厳選9選!【CRM編】」について紹介していきたいと思います。

1.CRMってなに?

ご紹介したように、CRMとはお客様との長期的な関係性のマネジメントに関する活動全般を指します。

お客様との関係を大きく見ると、以下の通りだと言えます。

(新規獲得)新規のお客様を獲得し、
(期待の充足)企業の製品・サービスによりお客様の期待を充足させ、
(アフターケア)取引後のお客様のアフターケアを行い、
(ロイヤルティの向上)お客様毎の売上を成長させる

では、新規のお客様も獲得し、取引開始後もきちんとケアすれば良いのではないかと思いますよね。

しかし、重要なのは新規獲得に掛かるコストとお客様との関係性を維持するために掛かるコストが大きく違うということです。

一般に、既存のお客様の維持のためのコストに比べて、新規のお客様を獲得するためのコストは5倍かかると言われています。

フレデリック・F・ライクヘルドが「1:5の法則」と言っていたりします。

この法則の比率については、当然業界によっても異なります。

きちんと計算したわけではありませんが、コンサルティング業界だと、2:8とか1:9くらいに感じます。

そのため、お客様を維持することが企業としてはとても重要となります。

ライクヘルドは、「5:25の法則」も唱えています。

お客様の離反率を5%下げると、利益が25%から95%改善するとのことです。

以下の図を見ていただければ分かると思いますが、お客様との取引の経過年数が長くなると様々な面で利益を生み出し、累積利益が増えていきます。


<図 顧客との経過年数と利益率の関係 出典:「カスタマー・ロイヤルティの経営」>

では、どのようにすればこの良好なお客様との関係を維持することができるのでしょうか。

最も顧客ロイヤルティに影響を与える重要な要因はお客様満足度です。

よく、CS、Customer Satisfactionが重要って言いますよね。

古くは、米国のゼロックス社の研究があります。

以下の図のように、お客様満足度が非常に高いグループは、お客様自体が企業を宣伝してくれる伝道者になってくれます。

<図 顧客継続率顧客満足度の関係 出典:米ゼロックス>

また、顧客満足度の高い企業は従業員満足度も従業員ロイヤルティも高い企業と言われています。

当たり前のことですが、お客様との関係性を強化するとともに、社内の仕組みや制度をきちんと整備することがビジネスの成功には重要ということです。

今回は、このようにビジネスの成功に大きな影響を与えるCRMについての書籍をご紹介していきたいと思います。

一言でCRMと言っても様々な分野に及び、関連する書籍も膨大です。

今回は、その中から厳選9選をご紹介したいと思います。

2.CRMの本質を理解したい方向け

ここでは、CRMについてビジネスシーンにおける重要性について書かれた本を中心に紹介したいと思います。

カスタマー・ロイヤルティの経営―企業利益を高めるCS戦略

CRMの基本書中の基本書です。

先に紹介しましたが、「1:5の法則」や「5:25の法則」の他に、サービスプロフィットチェーンやサティスファクションミラーなど、新しいCRMのコンセプトについても書かれています。

顧客満足度と顧客ロイヤルティの関係や顧客生涯価値について本格的に書かれたはじめてのCRMの本といっても過言ではありません。

ビジネスの観点で書かれているので、経営者の方にも是非読んでいただきたい1冊です。

ジェームス・L. ヘスケット (著)、レオナード・A. シュレシンジャー (著)、ジュニア サッサー,W.アール (著)、島田陽介(訳)
日本経済新聞出版

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

こちらも「真実の瞬間」という重要なキーワードを紹介した貴重な本です。

著者のヤン・カールソンは、赤字体質に陥っていたスカンジナビア航空を短期間で再建した経営者です。

「真実の瞬間」とは、「お客様はその企業に接するほんの短い瞬間にその企業の製品やサービスに対する評価を決めてしまう」という考え方です。

その短いお客様との出会いの瞬間をいかに大切にすべきか、顧客接点での活動の重要性、顧客本位での企業の在り方について書かれています。

真実の瞬間は、英語でも「Moments of Truth」です。是非、覚えていおいてください。


ヤン カールソン (著), 堤 猶二 (翻訳)
ダイヤモンド社

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

「星野リゾート」の星野社長が、自社の経営課題を解くにあたり「教科書」として参考にした本とともに、「教科書」中で提唱されている経営現場での経営理論の実践について書かれています。

先に紹介したヤン・カールソンの「真実の瞬間」も「教科書」として活用され、サービスの重要性について紐解かれています。

その他に、ポーターの「競争の戦略」やコトラーの「マーケティング・マネジメント」などが取り上げられていて、CRM以外にも経営理論の実践という点で大変勉強になる本です。


中沢 康彦 (著)
日経BP

3.CRMの基本を理解する

  • 経営コンサルタントが初めてCRMのプロジェクトにアサインされた時
  • 自分の会社の顧客管理や営業、サービス等の業務の改革を任された時

などに、CRMとして何を取り組むべきかの基礎知識について書かれている本を紹介します。

CRM増補改訂版

アクセンチュアのコンサルタントがCRMについて書かれている本です。

日本で初めて書かれた本格的なCRMの解説書です。

CRMの基本的な考え方はもとより、CRMをどのように構築すべきか、ナレッジ、業務プロセス、組織・人、技術の要素の在り方について「CRMモデル」として紹介しています。

CRMについて何をどのように検討すれば良いか一通りのことを学ぶことができる本です。


村山 徹 (著)、三谷 宏治 (著)
東洋経済新報社

CRMの基本

CRMを「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ととらえて、CRMの実践に必要となるポイントをコンパクトに説明した本です。

顧客データの収集・管理・活用、顧客分析の手法等実践で役立つテーマについても解説されています。

アクセンチュアのCRMよりは新しい本なので、ICTを取り入れた取り組み等のトレンドも押さえています。


坂本 雅志 (著)
日本実業出版社

ハーバード・ビジネススクールが教える顧客サービス戦略

言うまでもなくハーバード・ビジネススクールでのケーススタディをもとに、「儲かるサービス」を目指すためには何をすべきかの設計手法について紹介しています。

顧客サービスを設計する際に、何に重点を置き、どこで手を抜くか等について海外企業の豊富な事例をもとに解説しています。

ザッポスやIKEA、アマゾン、スターバックス、IDEOなど、多様な業種の事例が多く取り上げられており、とても勉強になります。


フランセス・フレイ (著)、アン・モリス (著)、池村千秋 (翻訳)
日経BP

4.CRMの実践を理解する

コールセンターや営業、サービスなど、真実の瞬間を支える仕組みの構築や改革に取り組むにあたり、実践的なノウハウを学ぶことができる本を紹介します。

コールセンターマネジメント 戦略的顧客応対[理論と実践]

コールセンターやコンタクトセンターなどに関する本は非常に多く出版されています。

しかし、日本人の書かれた本は入門書のような比較的簡易な本が多く、実践で活用できる部分が少ない本が多いです。

「コールセンターマネジメント 戦略的顧客応対[理論と実践]」は、コールセンターの企画、構築、運用全般にわたり、設計の考え方など理論的な説明とともに、具体的かつ詳細な実践的説明が書かれており、実務においても大変参考になる本です。

多少古い本なので、ICT周りについては補完が必要ですが、本質的に必要な内容は今でも十分に実践で役に立ちます。


ブラッド・クリーブランド (著), CCA (翻訳)
ファーストプレス

サービス・マネジメント

サービスに関しても、コールセンターや次に紹介する営業同様に、中々日本人の方が書かれた本格的な専門書が少ない領域です。

この「サービス・マネジメント」では、優れたサービスとはリピート・オーダーを喚起するという考えのもと、顧客接点での高付加価値サービスをいかに継続して企業として提供できるかについて理論面、実践面で書かれています。

本質を突いた議論が書かれており、現在でもサービスマネジメントの改革にあたっては、大変参考になる本です。


カール アルブレヒト (著)、ロン ゼンケ (著)、和田 正春 (翻訳)
ダイヤモンド社

The Complete Guide to Accelerating Sales Force Performance

最近はやっと日本人が書かれている営業改革の本でもコンサルタントが読んで実務で参考になりそうな本も少しずつ増えてきましたが、まだまだ仕事でそのまま活用できるほどの専門的な内容が書かれている本を手に取ることはできません。

そこで、少し古い本で英語の本ですが、是非紹介したいと思います。

こちらの本のタイトルをあえて訳すと「営業部隊のパフォーマンスを最大限に向上させるための完全ガイド」といったタイトルでしょうか。

タイトルにもありますが、まさしくComplete Guideです。

営業改革、特に法人営業のプロセス設計、組織設計、メジャメント設計等のコンサルティングを行う際には、大変参考になると思います。

また、最近改めて注目を集めているインサイドセールスの設計についても体系だった説明がなされている非常に貴重な本なので、営業改革のプロジェクトで困っている人は必読です。


Andris A. Zoltners (著)、Prabhakant Sinha (寄稿)、Greggor A. Zoltners (寄稿)
Amacom

同じZoltnersによる本ですが、こちらも営業プロセスや営業組織の設計について体系だって書かれている本なので、英語ですが是非読んでみてください。

A. Zoltners (著)、P. Sinha (著)、S. Lorimer (著)
Palgrave Macmillan

5.まとめ

「お客様は神様です」ってよく使われたフレーズと聞きましたが、最近はあまり聞きません。

この「お客様は神様です」は演歌歌手の三波春夫さんが使い始められた言葉と言われています。

もともとは「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。~中略~。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です」という思いから生まれた言葉なのだそうです。

この言葉の意味は、経営コンサルタントはもとより、お客様接点で働く人全てにとって貴重なメッセージだと思います。

この記事でも紹介したヤン・カールソンが書かれている「真実の瞬間」を思い出しました。

一人ひとりの社員が顧客接点においてその活動の重要性を認識し、「真実の瞬間」を大切にすることに通じると思います。

今回記事で紹介した本を通して、是非CRMの重要性や素晴らしさについて知ってもらえればと思います。