「顧客分析の基本!デシル分析とRFM分析をマスターしよう!」について書いていきたいと思います。
・デシル分析とかRFM分析とか指示されたけど、どうやれば良いの?
最近では、ビッグデータとして顧客の購買行動等を蓄積・活用することが当たり前になってきています。
高度な統計ソフト等を活用することで、かなり複雑な分析や予測等もできるようになってきています。
だからと言って全てをITに任せてしまっていては、コンサルタントの出る幕が無くなってしまいます。
コンサルティングをする際に、比較的共通して取り組むこととしてクライアントのお客様の分析があります。
例えば、売上を向上させたり、新しい事業を立ち上げたりする際に、クライアントのお客様を知らなければ、クライアントが抱える課題を分析したり、解決策を検討することができません。
お客様を分析し、仮説を立てて、課題を解決することこそ、コンサルタントの基本と言えると思います。
今回は「顧客分析の基本!デシル分析とRFM分析をマスターしよう!」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.顧客分析とは何?
クライアントの顧客との関係性を維持・強化するための取り組みにCRMがあります。
CRMの基本として、お客様の状況を把握した上で、優良顧客の維持・育成をしていくことが重要です。
<図 CRMの考え方 イメージ図>
そのCRMには、大きくはオペレーショナルCRMとアナリティカルCRMとがあります。
※CRMについては、是非以下の記事を読んで下さい
オペレーショナルCRMとアナリティカルCRM
オペレーショナルCRMとは、マーケティングや営業、コンタクトセンターやアフターサービス等お客様と直接接点を持つ業務プロセスを最適化する考えです。
業務プロセスが継続して改善され、現場のオペレーションが磨きあがることで、市場での競争優位を確保できている状態をオペレーショナルエクセレンスと言いますが、先ほどのお客様と直接接点を持つ業務プロセスのオペレーショナルエクセレンスの状態を目指します。
※お客様接点の重要性については、以下の記事を読んでみて下さい
一方、アナリティカルCRMは、オペレーショナルCRMで得られるデータをもとにお客様を分析し、それぞれのお客様に応じた価値提供の仕方を提案することを指します。
例えば、自社にとって高い価値をもたらすお客様と低い価値をもたらすお客様にも、同じ経営資源をあてがい、同じレベルのサービスを提供していては、利益を確保することが困難になります。
そこで、お客様分析し、お客様に応じた価値提供の仕方を検討するためにアナリティカルCRMが必要になります。
どんな分析手法があるの?
アナリティカルCRMでは、お客様の購買履歴や提供されたプロファイルから、お客様の分析を行います。
主要な分析手法として以下のようなものがあります。
市場規模分析
特定の商品やサービスに対する市場の規模がどの程度あるのか、今後どの程度成長するかを分析します。
特に、ターゲットとして想定するお客様が属するセグメンテーションでの市場規模やその将来性を分析、評価を行います。
顧客ニーズ分析
アンケート調査ややフォーカスグループインタビュー等を通じて、どのようなデモグラフィクスプロファイル(性別、年齢、職業等)のお客様がどのようなニーズやウォンツを持っているか分析します。
顧客購買行動分析
お客様の購買行動の実績を分析して、どのような購買行動をとっているかを明らかにします。
お客様の商品やサービスの採用や購買が、季節性のあるものか、特定のイベントと関係があるものか等を分析し、その要因に合わせた施策の検討に活用します。
購買意思決定プロセス分析
購買意思決定のプロセスは、法人と個人で大きく異なりますが、法人向けであろうと、個人向けであろうと購買意思決定プロセスの分析は重要です。
お客様が自社の商品やサービスの採用や購入に至るまでの意思決定プロセスを分析します。
意思決定プロセスを明確にし、他社ではなく何故自社を選択したのかを分析することで、今後取り売るべきマーケティングや営業の施策の検討に活用することができます。
※カスタマーの分析のフレームワークの3C分析については、以下の記事も参考に読んでみて下さい
2.顧客分析の基本!デシル分析とRFM分析
このような顧客分析の中でも基本となるのが、デシル分析とRFM分析です。
デシル分析
購買金額や取引金額等でお客様を分析する手法の一つにデシル分析があります。
デシルとは、いわゆる十分位数です。
全てのお客様を一旦10個のグループに十等分します。
十等分する際の基準は、例えば一定の期間での商品の購買金額やサービスの利用金額、粗利等が一般的です。
<図 デシル分析のイメージ図>
図にあるように、一般的には、各グループの売上金額や利益額が全体の何割を占めているのか等をグループ毎に集計し、各グループの売り上げや利益が全体の何割を占めているかを分析します。
これにより、どのグループがどれくらい売り上げや利益に貢献しているのか把握することができます。
これらを活用し、どのグループに対して、どのような営業施策に力を入れるべき等を検討します。
RFM分析
RFM分析のRFMは、以下の3つの頭文字です。
- R:Recency 直近でいつ購買したか
- F:Frequency どのくらいの頻度で購買しているか
- M:Monetary 累計でどのくらいの金額を使っているか
<図 RFM分析のイメージ図>
当然、RFMの評価が高いお客様は優良顧客ですし、維持・育成していくことが重要です。
一方で、RFMのどの分析の軸が弱いかにより、とるべき施策も異なりますので、全体の評点だけではなく、RFMの個々の要素毎にお客様の見える化や評価に活用してください。
それでは「R」「F」「M」について詳細にみていきましょう。
R:Recency 直近でいつ購買したか
商品やサービスの種類により異なりますが、最近購入されたお客様と1年間とか来訪や購買が無いお客様とでは、対応の仕方が異なります。
特に、1年間以上取引が無い場合は、休眠顧客や離反顧客です。
原因を明らかにし、きめ細かな対応が必要となります。
また、最近来訪や購買があったお客様にはキャンペーン等が販売促進のプログラムが重複したり、後だしにならないような配慮が必要です。
F:Frequency どのくらいの頻度で購買しているか
一般に、頻度は当然高い方が優良顧客といえるかと思いますが、金額も小さく薄利のモノを頻繁に買われるお客様と、頻度が少ないですが、高額で粗利が高い商品を買われるお客様とでは、評価が変わってきます。
事業のモデルによっても異なりますが、RFM分析のポイントは、R、F、Mの個別要素毎ではなく、要素の組み合わせで評価することも重要です。
M:Monetary 累計でどのくらいの金額を使っているか
累計の購買金額としておりますが、できれば一定期間での累計の購買金額で評価することをお勧めします。
事業モデルも時代の流れにより変わると思いますので、あまりにも長い期間を設定すると状況を読み誤るかと思います。
3.デシル分析やRFM分析をどう活用するか?
デシル分析やRFM分析の結果を主として活用する局面としては、STP、つまりマーティング戦略や計画の立案に使います。
- S:セグメンテーション
- T:ターゲティング
- P:ポジショニング
RFM分析等で見えてくるお客様の状況を踏まえて、セグメンテーションの軸や基準の設計に活用します。
その結果、どのセグメンテーションをターゲットにプロモーションを行うか、自社商品やサービスをどうポジショニングするかの施策の検討に活用します。
<図 顧客セグメンテーションと顧客攻略施策>
※マーケティングについては、以下の記事も是非読んでみて下さい
4.まとめ
コンサルタントにとって、お客様を分析することは、お客様事業の課題を分析したり、課題の解決策を検討する上で欠かすことができません。
是非、デシル分析やRFM分析を活用してください。