「ファイブフォース分析」について書いていきたいと思います。
・ファイブフォース分析はどうやって使うの?
ということを知りたい人は必見です!
実際に私たちコンサルタントが現場で使用しているフレームワークの中身について紹介したいと思います。
今回は、私自身がコンサルティングの現場で使ってみたものの中で、重要かつ有効だと思ったフレームワークの一つについて。
単にコンサルタントと言うと、新規事業戦略や中長期経営計画を策定したり、M&Aのプランを策定したりといったイメージが強いと思います。
いわゆる「戦略コンサルタント」と言われる人たちです。
これに対し、特化したコンサルタントもたくさんいます。
集客コンサルタント、SNSコンサルタント、オンライン化コンサルタント、副業コンサルタントなど様々です。
今回の内容は、会社経営者や戦略コンサルタント向けになります。
会社を経営していくにあたり、事業戦略や中長期の経営計画を策定する際に欠かすことができないのが、
- 自分の会社が置かれている事業環境はどうなっているのか
- 参入しようとしている事業環境はどのような状況か
といった事業環境分析です。
その事業環境の分析を行う際のフレームワークの一つが「ファイブフォース分析(five forces analysis)」です。
今回は「ファイブフォース分析(five forces analysis)」についてご紹介したいと思います。
コンテンツ
1.ファイブフォース分析とは?
ファイブフォース分析は、1980年にマイケル・ポーターがその著書『競争の戦略』という本の中で定義したのが始まりになります。
また、企業への戦略アドバイザーでもある。
この本の中でポーター先生は、業界の収益構造を分析する方法として、ファイブフォース分析を紹介しています。
彼は、この業界構造を決定する要因として、「新規参入の脅威」「既存競争業者間の敵対関係の強さ」「代替製品からの圧力」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の5つの要因を見出しました。
これら5つの要因の
- その業界にもたらす影響力の大小
- その業界に影響を与える要因の数の大小
により、業界の構造や業界の収益性の分析をしようとしました。
例えば、現在自分の会社がいる業界の構造や収益性に与える要因を把握することで、自社がとるべき対応策の検討に活用することができます。
また、自分の会社が新規参入していこうとする事業領域の中で
- どのようなビジネスモデルを取るべきか
- そのためにどのようなアクションを取るべきか
の検討に活用することができます。
企業は市場での競争に勝って、より優位に事業を展開することが重要となりますよね。
つまり、5つの競争要因を把握することで
・自分の会社が置かれている事業環境はどうなっているのか
・参入しようとしている事業環境はどのような状況か
など、業界の構造や業界の収益性を分析しようとしたものが「ファイブフォース分析」です。
2.5つの競争要因とは何か?
それでは、ポーター先生が定義した5つの競争要因とは何か、具体的に見てみましょう。
要因Ⅰ 新規参入の脅威
要因Ⅱ 既存競争業者間の敵対関係の強さ
要因Ⅲ 代替製品からの圧力
要因Ⅳ 買い手の交渉力
要因Ⅴ 売り手の交渉力
この5つについてみていきましょう。
要因Ⅰ 新規参入の脅威
業界の構造として、新規に参入する企業が多ければ当然競争はどんどん厳しくなりますよね?
ポーター先生は、新規に市場に参入する障壁を主に6つとして分析しています。
「規模の経済性」「製品の差別化」「巨額の投資」「仕入れ先を変えるコスト」「流通チャネルの確保」「規模とは無関係なコスト面での不利」です。
例えば、自分の会社が折角トップランナーの地位を築いたのに、後から来た新参者に自分の果実を横取りされたくないですよね?
しかし、他社から見て果実の獲得に時間が手間がかかりそうなら、無理に果実を取りに行くことはあまりないと思います。
よって、
- 巨額の設備投資が必要となる
- 既存プレーヤーに追いつくための技術の獲得が困難である
などの場合は、参入までの時間や費用対効果を考えると、新規の参入は難しくなります。
要因Ⅱ 既存競争業者間の敵対関係の強さ
既存の市場の中で、常に同業他社同士で競争している市場は厳しいということは言うまでもありませんよね?
そこで業界内での市場の競争関係を整理しているのが要因Ⅱです。
例えば、
- 参入している同業他社が多い
- 規模が似ていたりする
と競争は厳しくなると思います。
この他に、ポーター先生は次のような要因を挙げています。
・業界の成長が遅い
・固定コストや在庫コストが高い
・買い手をかえるためのコスト
・スイッチングコストが低い
・撤退障壁が大きい
要因Ⅲ 代替製品からの圧力
「ある業界内のすべての企業は、代替製品を生産する他の業界と、
広い意味で競争し続けているのである」
-マイケル・ポーター-
代替製品の価値が価格に比べて大きければ大きいほど、業界の収益への圧力が揺るぎないものになってしまいます。
要は、よりコスパの高い製品・サービスを代替製品との間でも実現していなかければならないということです。
要因Ⅳ 買い手の交渉力
買い手(=お客様)は常に
- 企業に対して値下げを迫る
- より高い品質や機能の製品やサービスを要求する
- 売り手同士を競わせる
などといったことをします。
これらの交渉力によって、業界の収益性は損なわれていってしまいます。
例えば、買い手がバラバラではなく集中化していき、売り手の総取引量にとってかなり大量に購入するようになると、買い手の交渉力が大きくなってしまいます。
また、買い手が製品やサービスを変えるスイッチングコストが低ければ、買い手の交渉力は高まります。
このような観点から交渉力を分析します。
総コストのこと。
要因Ⅴ 売り手の交渉力
売り手(=仕入先、供給業者)は、
- 買い手に対して価格を上げる
- 品質を下げる
などといったことで脅威を与えてきます。
例えば、買い手に対して売り手の業界が少数企業に牛耳られていれば、当然売り手の交渉力は高まります。
また、売り手にとって、買い手はあまり重要なお客様でなければ、当然売り手は買い手に対して強気に出ますよね?
このような観点から、仕入れ先などの交渉力を評価していきます。
3.ファイブフォース分析の使い方
この5つの競争要因をもとに
- 現在の市場の競争状況の分析
- 業界の魅力度の評価
- 追加投資の妥当性などについての検討
などを行います。
同様に、新たな市場に参入する際の市場の競争状況を分析し、新規参入すべきか投資の判断材料などに使ったりします。
また、市場の構造を明らかにし、その市場でどのように戦うべきかを分析して、どのような施策をとるべきかの検討を行ったりもします。
市場を分析して、「競争状況が激しいから参入せず、撤退する」という答えに機械的につながるわけではありません。
競争に勝ち残り、自社がその市場に有利に戦うために何をすべきかの検討が重要になります。
つまり、自社が有利に戦えるようゲームのルールを変えるのです。
4.まとめ
今回はファイブフォース分析についてご紹介いたしました。
ファイブフォース分析はあくまで、自社の外部環境を整理することです。
しかし、そこに時間の軸を設定し、新しい事業等の新しい競争環境を仮説として設定し、
- 新たな競争環境での事業のシミュレーション
- 事業の進出にあたり5つの脅威に対して考慮すべき事項の洗い出し
- それへの備えとして変えるべき仕組みやルール、制度・規制等の検討
などを実施することが重要です。