「SWOT分析」について書いていきたいと思います。
・SWOT分析ってどう使うの?
・SWOT分析は有用なの?
SWOT分析ってよく聞いたり、読んだりする機会が多いかと思います。
「スウォット」分析と呼びます。
経営戦略・事業戦略を策定するツールとして、色々な場面で紹介されていることが多いと思います。
その一方で、コンサルティングの場面ではそれほど多く使われているケースはないと思います。
先輩のコンサルタントの人も使っている人はあまりいませんでした。
今回は、知名度が高い割には使われる機会が少ない「SWOT分析」についてご紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.SWOT分析とは?
「そもそもSWOT分析って誰が考えたの?」と思って、インターネットを調べてみても色々な方の名前が出てきます。
- 経営学者のヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)
- ハーバードビジネススクールのケネス・R・アンドルーズ(Kenneth Andrews)
- スタンフォード大学のアルバート・ハンフリー(Albert Humphrey)
など、様々な方が出てきます。
おおよそ1960年代から1970年代にかけて考えられた、古くからあるフレームワークのようです。
では、この「SWOT分析」のSWOTは何でしょうか?
ご存知の方も多いかと思いますが、英語の頭文字をとったものです。
S:Strengths(強み)
W:Weakness(弱み)
O:Opportunities(機会)
T:Threats(脅威)
2.SWOT分析の使い方
SWOT分析は、内部環境の「強み」「弱み」や外部環境の「機会」「脅威」といった4つの要因を分析し、それぞれのリストを作り、経営戦略・事業戦略を策定します。
フレームワーク自体は非常にシンプルなものです。
内部環境を分析するには、
・バリューチェーン分析
・VRIO分析
を使って分析することが多いです。
また、外部環境を分析するには、
・ファイブフォース分析
・PEST(もしくはSTEEP)分析
を使って分析します。
それらを踏まえて、
・どのように強みを経営や事業に活かすのか?
・どのように弱みを克服し経営や事業を守るのか?
・どのように機会を経営や事業に活用するか?
・どのように脅威から経営や事業を守るか?
といったような観点から検討を行っていきます。
※上記で出たきた分析については以下の記事を参考にして下さい
3.クロスSWOT分析とは?
このSWOT分析をもう少しシステマチックに検討しようとしたものを「クロスSWOT分析」と言います。
<図 クロスSWOT分析のフレームワーク>
活用の仕方としては、
S×O:強みを生かして機会を刈り取る
W×O:弱みを強みに変え機会を刈り取る
S×T:強気を生かして脅威に対抗する
W×T:弱みを強みに変え脅威に立ち向かう
といった観点で経営戦略、事業戦略を検討するというものです。
4.SWOT分析は有用なのか?
ここまで説明してお分かりの方も多いかもしれませんが、SWOT分析って、結局のところ内部環境の「強み」「弱み」や外部環境「機会」「脅威」といった外部環境の4つの要因をリスト化するものに過ぎません。
VRIO分析やファイブフォース分析を行った結果をSWOT分析のフレームワークで整理しただけと言えばそれだけです。
結果、これだけ見ていてもなかなか戦略は生まれてきません。
私たちコンサルタントは仮説検証型の仕事の進め方を行います。
よって、広く集めた事象から帰納法的に戦略を策定するようなことはあまり行いません。
①検証するための仮説を策定する
②分析のための前提を設定する
③実際にSWOT分析を実施する
つまり、すでに”仮説”という仮の答えが正しいか否かを検証するためのツールとして利用します。
このときSWOT分析は非常に有用なフレームワークになると思います。
「SWOT分析をすることで機械的に答えが出る」と言っている方もいますが、私は“仮説“という意思がないところではSWOT分析で答えを出すことは困難だと思います。
そういうコンサルタントの方は比較的「SWOT分析」が大好きです。
5.まとめ
ちょっと斜に構えた「SWOT分析」の紹介になってしまいましたが、使い方を間違わなければ非常に有用なフレームワークです。
コンサルタントの基本の仕事の進め方は「仮説を立てて検証する」ことです。
そのため、よく紹介されているような形で、SWOTの4つのマスを埋めて、そこから何かを生み出そうということはあまりしません。
ましてや、SWOTで自社の情報を整理して機械的に戦略が出てくるのであれば、社長をはじめ会社のマネジメントも経営企画を担当する人もコンサルタントも必要ありません。
非常に有用なフレームワークですので、使い方をよく考えて皆さんも活用してみてください。