【経営コンサルタントが使うフレームワーク】~サービスプロフィットチェーン~

ななみ
ななみ
こんにちは。
「【経営コンサルタントが使うフレームワーク】~サービスプロフィットチェーン~」について書いていきたいと思います。
・CSとESの向上が企業の利益に貢献する、というのはどういう仕組みになっているの?
・CSにはサティスファクションミラーが重要って聞いたけど、どういうものなの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

昔はよく「お客様は神様です」って言われていましたね。

今でも「ビジネスにとってお客様満足度が最も重要である」ということはよく言われています。

確かに、自社のビジネスに対価を払い売上に貢献してくれるお客様の満足度を上げることが重要なことは分かりますが、闇雲に価格を下げたり過剰サービスを提供しては本来得られる利益が得られなくなります。

それでは、どのようにお客様満足度を上げることができるのでしょうか?

お客様満足度(CS、Customer Satisfaction)と従業員満足度(ES、Employee Satisfaction)の相乗効果を利用し、Win-Winの関係を構築するという考え方があります。

サービスプロフィットチェーンです。

今回は「【経営コンサルタントが使うフレームワーク】~サービスプロフィットチェーン~」について紹介してきたいと思います。

1.何故お客様満足度は必要か?

お客様満足度はなぜそんなに重要なのでしょうか?

お客様満足度はお客様ロイヤルティを向上させる?

自社のサービスや商品にお客様が満足いただけないと、結果として契約の打ち切りや他社への切り替え等が起こります。

つまり、お客様の満足度の高さとお客様のロイヤルティの高さには相関関係があります。

図 お客様満足度とお客様ロイヤルティの相関関係のイメージ

<図 お客様満足度とお客様ロイヤルティの相関関係のイメージ>

また、満足度が高いお客様は企業の伝道者として、企業の商品やサービスの宣伝をしてくれます。

しかし、不満を持ったお客様は逆に企業を批判します。

グッドマンの第二法則にあるように 「苦情処理(対応)に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」ことになります。

※グッドマンの法則については、以下の記事も是非読んでみて下さい

【経営コンサルタントが使うフレームワーク】~グッドマンの法則~

何故お客様ロイヤルティが重要なのか?

では何故お客様ロイヤルティは重要なのでしょうか。

まず一つ目として、新規顧客の獲得コストと既存顧客の維持コストの違いがあります。

新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかると言われています。(1:5の法則)

業種業態にもよりますが、新規顧客の獲得には顧客維持の5~6倍のコストがかかります。

2つ目として、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるというものです。(5:25の法則)

既存顧客を維持し、ロイヤルティを高めることで、購買金額の増加はもとより、知人の紹介や特別なサービスのプレミアム価格での購買等顧客生涯価値(LTV、Life Time Value)が向上します。

図 顧客生涯価値のイメージ図

<図 顧客生涯価値のイメージ図>

2.サービスプロフィットチェーンって何?

このように企業にとって重要な顧客満足度や顧客ロイヤルティを向上させる考え方がサービスプロフィットチェーンです。
詳細に説明していきます。

何故サービスプロフィットチェーンなのか?

サービスプロフィットチェーンは、ハーバードビジネススクールのヘスケットとサッサーにより1994年に提唱されたフレームワークです。

従業員満足度が上がり、従業員のロイヤルティが向上すると、顧客に対するサービスレベルが高まります。

また、顧客へのサービスレベルが高まると顧客満足度が継続して向上し、顧客ロイヤルリティが高まります。

結果として、企業の利益に貢献するという好循環につながります。

顧客満足度と従業員満足度の相乗効果を利用する考え方がサービスプロフィットチェーンです。

図 サービスプロフィットチェーンのイメージ

<図 サービスプロフィットチェーンのイメージ>※タップで拡大

サービスプロフィットチェーンを支えるサティスファクションミラー

サービスプロフィットチェーンを支える考え方にサティスファクションミラーという考え方があります。

社内サービスを考えた場合、社内の教育や働き方の環境、給与や賞与等従業員に向けた社内サービスを充実させることで、従業員の満足度や従業員のロイヤルティが高まります。

その結果、ロイヤルティの高い社員による高い生産性や高いサービス品質が顧客満足につながり、そこで得られた収益が社内サービスの向上に向けた再投資につながります。

スキルの高い従業員による高いサービス品質により顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上に繋がります。

このような社内と社外の相乗効果を鏡に例えて表現したものがサティスファクションミラーです。

図 サティスファクションミラーのイメージ

<図 サティスファクションミラーのイメージ>

3.お客様・従業員・企業のWin-Winの関係を構築する

では、顧客満足度が上がれば、何をしても良いという分けでしょうか。

当然、価格が安ければ良いことはあります。

しかし、必要以上な値引きや過剰な顧客サービスへ企業の利益を圧迫します。

また、顧客満足度は、高いナレッジやスキルによる顧客接点でのサービスやブランド等様々な要素で形成されます。

一方で、従業員満足度も、当然給料が高ければ良いに越したことはありません。

長期的には、日々の仕事の責任ややりがい、スキルの成長等恒常的に従業員のモチベーションを高めるための施策も重要となります。

これらが相まって、お客様と従業員の満足度を高めるという企業を挟んでのWin-Winの関係が形成されると言えます。

図 お客様・従業員・企業のWin-Winの関係 のイメージ図

<図 お客様・従業員・企業のWin-Winの関係 のイメージ図>

4.まとめ

従業員の満足度を上げるとともに、顧客満足度を上げて成功している企業の一つに星野リゾートが上がります。

星野リゾートは、経営の苦しくなった全国の旅館等リゾート施設の運営を見直し、多くの施設の再生に成功しています。

その際に重要なことが従業員のモチベーションです。

従業員自らが考えて自ら行動できる内部環境を整備しており、サービスプロフィットチェーンを実践している企業と言えます。

※星野リゾートについては、こちらの記事も是非読んでみて下さい

経営コンサルの必読書厳選9選!【CRM編】 

今回紹介したサービスプロフィットチェーンについて、もう少し詳しく知りたい方は、ジェームス・L・ヘスケット、W・アール・サッサー・JR他が書かれた「カスタマー・ロイヤルティの経営―企業利益を高めるCS戦略」(日本経済新聞出版)を是非読んでみて下さい。