RPA導入後に本当に効果を出すために必須の出口問題について徹底解説!

ななみ
ななみ
こんにちは。
「RPA導入後に本当に効果を出すために必須の出口問題」について書いていきたいと思います。
・RPA導入したけど効果が出ていない・・・
・RPA導入する際に考えるべきことって何だろう・・・
・本当にRPA導入したら効果出るのかな・・・
というお悩みをお持ちの人は必見です!

いきなり“「出口」ってなに?“と思われますよね?

経営コンサルタントの重要な仕事の一つに、“業務構造改革”とか、“業務プロセス改革”と呼ばれている仕事があります。

聞いたことがあるかもしれませんが、BPR(英語のBusiness Process Re-engineeringの略)です。

このBPRを実施する際に重要になるのが、「出口問題」「出口戦略」と呼ぶ、「出口」の話です。

色々な業界で、色々な意味で「出口問題」「出口戦略」という言葉が使われますが、ここでの「出口」とは、業務構造改革やRPAで業務を自動化した後に、“創出された工数をどう活用するか”というテーマです。

では、「RPA導入後に本当に効果を出すために必須の出口問題」についてご紹介していきたいと思います。

1.放っておいても人の働き方は変わらない

働き方改革って今すごく話題になっていると思います。

しかし、経営コンサルティングの仕事をしていてすごく実感するのが、“人の働き方はなかなか変わらない”ということです。

本当は、新しい働き方や業務の手順の方が効率的な場合がほとんどなのですが、新しい仕事の仕方を説明すると大抵は、

  • 「今のままでうまく仕事できているのに、なんで変える必要があるのですか?」
  • 「かえって効率悪くなるんだけど、責任とれるんですか?」

など、抵抗勢力が必ず出てきます。

どこの会社にもいますよね?

そのため、大抵の場合、新しい働き方へ変革しようとすると、一旦下の図のように仕事の遂行能力が下がってしまいます。

この働き方の変化点をうまく乗り越えないと、仕事の遂行能力、つまり生産性は下がったままになってしまいます。

図 新しい働き方への抵抗とチェンジマネジメント

<図 新しい働き方への抵抗とチェンジマネジメント>

それは、

  • 既得権を失う不安
  • 変化への抵抗
  • 新しいものへの不安

など、人によって様々です。

また、ノーベル賞を受賞したことで一般の人にも有名になった学問の一つに「行動経済学」がありますよね?

この行動経済学の中で取り上げられるテーマで「現状維持バイアス」があります。

例えば、生存本能とか防衛本能といったものがありますが、誰でも新しい行動を起こすよりも現状を維持する方が安心しますよね。

誰でも新しいことにはつい尻込みしてしまうと思います。

こういったことも、働き方を変えることを難しくしてしまっています。

結果、折角の新しい取り組みに投資をしても投資が無駄になってしまいます。

業務改革の結果、新しい働き方に移行することを支援することも経営コンサルタントの仕事の一つです。

それを「チェンジマネジメント」と呼んでいますが、新しい働き方にいかに速やかに移っていくことができるかをサポートする仕事です。

それでも上手くいかないことは時々あります。

RPAを入れると、働き方はあまり変わらないので、一旦は効果が出て残業が減ります。

しかし、放っておくと一度減った残業時間がまた元に戻ってしまったりすることが時々あります。

ロボットが代わりに働いているので、一人ひとりの生産性はさらに落ちてしまいます。

“生活残業”とか、“定時で帰るようになると暇に思われて異動させられそう”とか、理由は様々でした。

2. 効果を視える化する

そこで、重要なことは「効果を視える化する」ことです。

このようなことをすると、嫌がられることも多くあります。

でも、RPAを導入することは無料ではありません。

社員の人がロボットを開発すれば、ロボットを開発するために社員の人の工数が必要になります。

つまり人件費の一部ですよね?

また、外部にロボットの開発を委託すれば、当然キャッシュアウトが発生します。

なので、多少気持ち的にやりにくくても、きちんと効果を出すことが重要です。

そのため、下の図のように、組織全体や一人一人の仕事の量を、導入前と導入後で定量的に視える化して、効果をきちんと把握することが重要です。

図 効果を視える化する

<図 効果を視える化する>

3.出口をつくる

その上で、冒頭ご紹介した出口の問題が出てきます。

通常の業務プロセスの改革でも、RPAによる業務の自動化でも、いつも問題になることがあります。

それは、“一人ひとりの業務の一部が自動化、効率化する”という問題です。

「それが何でいけないの?」って思いますよね?

一人分の仕事がまるまる浮けば、

  • 当然その人に新しい役割・仕事を担当してもらう
  • 他の部門で新しい仕事で活躍してもらう

など、対応しやすくなります。

しかし、中途半端に、“一人の仕事の3割だけがなくなってしまう“となると扱いが難しいです。

都合よく減った3割分の仕事を調整する、というのはそう簡単ではありません。

そこで、下の図のように、バラバラと出てきた自動化の効果の時間を一人分の仕事にまとめてしまうのです。

そうすれば、図のEさんには新しい仕事についてもらい、活躍してもらえることができますよね?

図 効果を寄せて一人分の仕事にまとめる

<図 効果を寄せて一人分の仕事にまとめる>

また、日本企業に多いこととして、組織で人をたくさん抱えようとします。

業務が自動化され余剰の工数が創出されても、そのままの人数を確保しようとします。

しかし、組織のマネジメントにとって重要なことは、より少ない人数でより多くのアウトプットを生むことです。

人を多く抱えることに力を注ぐより、組織本来のパフォーマンスを高め、「組織の生産性」を向上させるために力を注ぐことが重要になります。

そこで、人事のことは人事の専門家に任せて、全社を視野に人の有効活用を考えてもらった方が、より社員の有効活用につながります。

社員の人も特定の組織に抱えられて塩漬けになるよりは結果としてより活躍ができる場を見つけられると思います。

また、全社の人事の視点で考えれば、色々な施策を企業として打つことができるようになります。

例えば、

  • 適材適所で全社視点で配属を考える
  • 社内公募制を取り入れる
  • 多様な雇用形態を取り入れる
  • グループ内での転籍を勧める
  • 独立を支援し個人事業主として契約する

など、一部門では対応が難しい様々な施策を実現することが可能になります。

RPAを導入することは、単にロボットを作って業務を自動化するだけでなく、

  • ロボットによる自動化で創出された社員の貴重な工数をどう有効活用するか
  • その上で、組織や会社の生産性をどう向上させるか

ここまで考えなければ、ロボットを入れても何の効果も生みません。

4.まとめ

このブログでも少し触れましたが、従来からの働きかや組織のあり方を変えて、新しい体制へ移行させて、早期に効果が出るような変革を支援することを、チェンジマネジメントとコンサルティングの世界では言っています。

誰でも、慣れ親しんできた環境や手順をいきなり変えろと言われてもちょっと抵抗したくなりますよね。

でも、新しいことへ変化していくことも重要です。

チャールズ・ダーウィンの言葉に「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」があります。

変化に抵抗するより、自ら変化していくことが重要だと思います。

勇気をもって、是非取り組んでみて下さい。

今回ご紹介した「行動経済学」についてですが、「行動経済学の逆襲」がおすすめ書籍です。
ちょっと厚い本ですが、是非読んでみて下さい。

また、随分前に読んだきりでしたが、「種の起源〈上〉 」 「種の起源〈下〉 」も読み返してみると新鮮です。