RPA導入後時々現場を困らせる「野良ロボットの発生を防ぐための対策3選」について書いていきたいと思います。
・野良ロボがセキュリティの問題を起こしたりするって聞くけど、どう対応したらいいの?
「野良ロボット」ってなに?と思われる人もいるかもしれませんが、とりあえず、オフィスのパソコンの中をうろうろしている「野良犬」と思っていただければと思います。
ただ、SF映画に出てくるような人工知能を持ったロボットが勝手に動き回るようなことではありません。
現場主体で作ることが多いロボットですが、情報システムの専門家がいない現場なので、はじめのうちは時間をかけてロボットを作ってみたけど、上手く動かなかったり、突然止まったりなど、色々なことが起こります。
一方で、知らない間にロボットが動き出して、悪さをする、なんてことも起こります。
この、どこで何をするのか分からない、忘れ去られてしまったロボットのことを「野良ロボ」と言ったりします。
本日は、「野良ロボットの発生を防ぐための対策3選」というテーマについて紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.「野良ロボ」ってなに?
少し触れましたが、「野良ロボ」はオフィスの現場で忘れ去られてしまったロボットです。
いつも現場の社員が管理して、ちゃんと首輪が着いていれば良いのですが、しつけが不十分なため、時に自由に歩き回って、問題を起こすロボットも少なくありません。
例えば、
- 勝手に重要なデータをダウンロードして、本来共有してはいけないデータを皆がアクセスできるフォルダにアップロードしてしまう
- 知らない間に重要なデータを上書きしたり、消してしまう
など、色々な悪さをしてしまいます。
当初、現場主導でロボットを開発して、ルールを決めずに使い始めてしまうとこのようなことがよく起こりがちです。
それぞれの担当者でロボットを開発するのは良いですが、一旦作ってみたものの、仕事の内容が少し変わったため、別のロボットを作って利用を始める際に
- 使い始めたロボットは何か
- 使うのをやめたロボットは何か
を管理していないことから、この「野良ロボ」が出てきてしまいます。
犬を飼うにも、登録や定期的な予防接種が必要ですよね?
ロボットを使い始める時も同じです。
予防接種は必要ないですが、“使い始めるロボットは何か”を登録し、“現在使っているロボットは何か”の定期的な棚卸は必要です。
2.放っておくと起こり得るリスク
では、この「野良ロボ」を放っておくと何が起こるのでしょうか?
いくつか例を見ていきましょう。
突然業務が止まってしまう
業務が自動化されると、知らない間にデータの処理や登録をロボットがやってしまい、担当者がどんなロボットが動いているのか意識していない場合も結構あります。
一つのロボットが処理していると思っていても、複数のロボットが一つの業務を行っていたりする時もあります。
そのような中で、意識してロボットを管理しておかないと、どんなロボットが動いているか個々のロボットの存在を忘れてしまいがちです。
例えば、情報システム部門が業務用のシステムの画面を変更してしまったらどうでしょう?
突然、ロボットは動かなくなります。
昨日までと入力項目が違う画面に突然移ってしまったら、それを知らないロボットは作業ができないですよね?
どこでどんなロボットが何をしているのか把握していないと、ロボットが実行する業務が突然止まってしまう可能性があります。
突然データがなくなる
業務や情報システムが変更になり、新しいロボットを作り直した場合、必ず古いロボットは廃棄しましょう。
廃棄しないと、先ほど少し触れたように、
- 本来あるべきデータがなくなる
- 違うデータで上書きされてしまう
など、不測の事態が起こります。
場合によっては、社員やお客様の個人データや会社の機密データの漏洩にも繋がるケースも発生しています。
個人情報漏洩など起こったら大事故です。
セキュリティ情報への勝手なアクセス
ロボットの中に、重要な情報システムのユーザーIDやパスワードを記録している場合もあったりします。
そうすると、
- 使わなくなったロボットが、ある日突然重要な情報システムに勝手にアクセスして、データをダウンロードしてしまう
というケースも発生しています。
ロボットの棚卸も重要ですが、ロボットを開発する時のルールも重要です。
3.「野良ロボ」の発生を防ぐための対策
「野良ロボ」が歩き回らないために以下の3つを実施する必要があります。
- 登録のルールを作る
- 棚卸をする
- ロボットをチェックする
それぞれについてみていきましょう。
登録のルールを作る
少し触れましたが、ロボットを作り始めるとき、利用し始めるときには、現場の部門できちんとロボットの台帳を作って管理しましょう。
- どのロボットがどの業務を処理しているのか
- どのロボットがどのようなデータを扱っているのか
- なんというEXCELのデータや情報システムを参照しているのか
- どのようなデータを作成しているのか
- どの情報システムにデータを登録しているのか
こういった情報を一覧として管理して、台帳にしておきます。
棚卸をする
「野良ロボ」がいないかどうか、定期的に棚卸をすることが重要です。
台帳と各担当者のパソコンやサーバーにあるロボットを付け合わせしてください。
不要なロボットがパソコン上にあるようなら、バックアップなどをした上で、きちんと廃棄してください。
ロボットをチェックする
ロボットを使い始めるときには、ロボットがルール通りに作成されているかについて、ロボットの中身を部門の中でチェックしましょう。
先ほどのように、
- ユーザーIDやパスワードをロボットのプログラムの中に直接書き込んではいけない
などのルールを作り、チェックする項目を一覧にしてチェックリストを作成します。
そのチェックリストの項目が合格すれば、ロボットを使い始めて良いとするといったルールを作るのです。
面倒くさいと思うかもしれませんが、事故が起こってしまってからでは遅いです。
最近だとこのようなルールを会社で決めて、情報システム部門が管理しているケースも増えてきています。
以前はそのような意識も薄く、思った以上に「野良ロボ」は多かったです。
4.まとめ
RPAを導入すると本当に業務が楽になります。
会社によっては、単純な事務作業の7割くらいを自動化した、という実績を持つような会社も多く出始めています。
しかし、記事で紹介したように、ロボットの管理を疎かにすると、本来は業務を助けてくれるロボットが業務の邪魔をするなんてことになりかねません。
ロボットと協力して業務処理を行い、その効果を享受するのは現場の社員の皆さんです。
なので、ロボットの開発や運用も人任せにせずロボットとともに働く社員の皆さん自身で考えることが重要です。
※RPAの参考図書を紹介しているので是非参考にしてみて下さい