「RPAの導入はなぜうまく行かないか?その理由厳選5選!」について書いていきたいと思います。
・RPAを入れても効果が出てないって言われたんだけど、何がいけないんだろう?
RPA(Robotic Process Automation)が話題になってから数年が立ちますが、今でもよく新聞や雑誌で目にする言葉です。
他のIT系のバズワードと違って、短命ではなく長い間生き残っています。
理由の一つには、実務上実際に大きな効果を得ることができ、多くの企業で継続して利用されていることが挙げられると思います。
一方で、うまく導入が進まずに、中々効果を享受できずにいる企業も少なくありません。
それでは、なぜRPAの導入がうまく進まないのでしょうか。
今回は「RPAの導入はなぜうまく行かないか?その理由厳選5選!」について紹介してきたいと思います。
※他のRPAのシリーズの記事も是非読んでみて下さい
コンテンツ
1.RPAを入れることに腹落ちしていない
RPAの導入により、仕事のやり方は大きく変わります。
これまで、手作業で操作してきて社内システムやEXCEL等のツールの操作をRPAツールで作成したロボットが代行してくれるようになります。
ロボットの作業は、正確で高速です。
24時間365日文句を言わず、へこたれずに働きます。
そのため、以下のことが期待できます。
- 作業にかかわる人件費の削減
- 作業時間の短縮による効率化
- 作業時間の変更による有効時間の創出
しかし、業務が大幅に変わることに対して、人の反応は様々です。
大幅な変更には、どうしても現状維持バイアスにより、反発する人や反発はしないけど積極的に動かない消極的な抵抗者が必ず生まれます。
そのため、業務の変革をうまく管理するチェンジマネジメントが重要になります。
部門のトップも現場も含めて、関係者全員が腹落ちするための取り組みはとても重要です。
※チェンジマネジメントについては、以下の記事も読んでみてください
2.効果の刈り取りを避けて通る
先に紹介したように、RPAを入れることで業務の仕方は大幅に変わります。
今まで人が対応してきた業務をロボットが対応することになります。
結果、人件費を大幅に削減することが可能になります。
「人件費の削減」≒「人の削減」でもあります。
ロボットにより創出された工数を他の業務で有効活用することを考えなければなりません。
しかし、多くの組織では、
- 業務の役割分担を大きく見直す
- シフト等を見直し、残業を減らす
- 新しい仕事をするために人事異動させる
等を行わなければなりませんが、なかなか実行するのも難しい問題となっています。
組織のマネジメントは、以下に効果を出すのかを考えることが重要な仕事です。
※効果を出すための出口問題については、以下の記事を是非読んでみて下さい
3.自動化の対象業務の整理ができていない
RPAは人と違い、決められた手順は高速かつ正確に処理することができます。
しかし、人と違って考えたり、状況を考慮しながら処理をすることはできません。
そのため、RPA化対象業務の中に
- 人が考えて操作するような操作手順が入っている
- ほぼ同じなようなEXCELの書式だけど、扱う商品や部門により少しずつ異なる
- ほとんど同じ処理だけど、たまに例外処理が混ざっている
ということがありがちですが、このようなことに対してロボットは機転を利かせることができません。
結果、ロボットは分からないことには「思考停止」し、処理は止まってしまいます。
ロボットを導入する前には、業務を棚卸して、業務手順を見える化・標準化することが重要です。
4.誰がロボットの面倒を見るのか決めていない
RPAツールで作るロボットは、いわゆるプログラムです。
EXCEL等のようなツールと違い、ある程度の専門的スキルを必要とします。
しかし、企業によっては、RPAツールでの開発を知らない人が、「ロボットはユーザー部門で開発して、管理する」といったルールを決めています。
結果、RPAツールを導入したけど、複雑な業務のロボットの開発ができないから、目に見えた効果を得ることができないとなります。
また、外部の専門家に作ってもらったけどメンテナンスできないので、ちょっとした変更も外部の専門家にお願いしなければならないということも少なくありません。
RPAツールでロボットを開発することは、慣れれば難しいことではありませんが、片手間で難しい業務の自動化もできるようになるような簡単なものではありません。
きちんと誰がロボットの開発や保守、運用、管理を行うのかきちんと決めて、スキルを身に着けてもらうことを考えなければなりません。
5.どの業務を自動化するか現場任せにしている
現場の社員任せでRPAツールを導入していて起こることは、RPAツールのスキルのあまりない人が「この位ならできるかな」ということで、あまり効果が出ない領域から取り組む傾向にあります。
先に紹介したように、RPAで大きな効果を出すには、業務の整理や標準化が必要ですし、ある程度以上のRPAツール自体のスキルも必要になります。
そのため、現場任せにしてしまうと、あまり効果が期待できないけど、簡単そうなところから始めます。
<図 RPAでの自動化対象領域>
結果、「RPAを入れても大変な割には効果がでないね」となってしまいます。
現場任せにせず、組織として効果を出し、より人材を有効活用するために何をすべきかを考えて、RPAをどこに適用するかをきちんと考えなければなりません。
6.まとめ
「RPAの導入はなぜうまく行かないか?その理由厳選5選!」として紹介しましたが、5つに共通するものがあります。
それは、組織のマネジメントのリーダーシップと関与です。
日本の多くの企業では、このようなRPAツールの導入には組織のマネジメントがあまり積極的に関与することが少ないように思います。
結果、現場任せにしてしまうことで、上手くいかなかったり、効果が出なかったりしてしまいます。
RPAツールの導入により、大きく仕事の仕方を変えることができますので、是非チャレンジしてみて下さい。